スポンサーリンク
こんにちは、るいぴです。

介護施設での虐待のニュースが最近多いけど、当事者達はどういう気持ちで虐待してしまうの?
という疑問に応えます。
私は現在介護職6年目でして、現役の介護士として介護現場で日々仕事をしていますが、
正直な話、過去に【このままでは虐待してしまうかもしれないな】と思うほどイライラして追い詰められた経験があります。
そのときは幸いな事に、虐待に手を染めずに済み、その職場を辞めることが出来ましたが、この経験から虐待走ってしまう人の気持ちも多分少しは理解できます。
この記事では
- この時の感情はどういうものだったのか?
- どういう状況で虐待してしまうのか?
- どういう利用者が虐待にあうのか?
- 虐待の原因とは何なのか?
について解説します。
この記事で一番伝えたいのは、
虐待した職員が一番悪いとは思う。
しかし
あーこのまま続けたらいつか手が出そう。虐待する前に辞めよ。とまで思った職場を経験したからこそ強く思いますが、個人を責めても何も解決しないです。その個人が介護に関わる制限を設けるべきとは思うけど
この事実を今後に活かすのが業界に居る者の役目
— るいぴ🐁介護のブログ (@ntya1231) August 15, 2019
介護現場での虐待は誰もが手を染めてしまう可能性と隣合わせで働いており、虐待をしてしまい、逮捕された人も多分ですが特別悪い人だったわけではない。
この意見は犯人を擁護するものではないですが、TV番組やSNSで犯人を批判して、職員がどれだけ卑劣な事をしたか、を議論してもなんの意味もなくて、大切なのは、なぜ虐待に至ったのかを考え、今後の再発防止策に活かすことです。
ということです。
では以下から内容に入ります。
スポンサーリンク
Contents
介護職員が虐待に走る時の感情とは?

過去の自分の感情をベースに解説します。
虐待に走りそうになった時、お湯が瞬間的に沸騰したような、強烈なイライラに襲われました。
普段から、その利用者の対応時にイライラするな〜という意見を他の職員も言っていたので、日常的にその利用者に対してはイライラが募っていたとは思いますが、毎回爆発的なイライラを感じていたわけではありません。
介護士はいくらイラッとしても、可愛らしい場面を目撃したり、他の利用者さんで癒やされたりして業務の中でそのイライラをうまく外に逃がすんです。
しかし、虐待に走りそうになった時はそれが出来ないくらい瞬間的にイラッとしてしまうんです。感情を逃がす時間がないくらい瞬間的で強烈な感情です。
この感情を抑えるのに必死になったのを今でも覚えていますし、必死に抑えてケアしてその後フロアを離れてトイレで一瞬泣きました。
しんどいですよ、マジで。
でもこれの一番怖いところは、抑えられるかどうかわからないくらいの瞬間的な強烈な感情にも関わらず、いつ来るか自分でもコントロールできないというところです。
あ、そろそろあの感情が来るなと分かれば対処できますが、ぶっちゃけ私の体感では予兆はありませんでした。
というか、予兆は多分ありますがその予兆に気づける余裕がない、という方が正確かもしれません。
介護士が虐待してしまう時の状況

虐待に走りそうになった時は
フロアの人員に余裕はなく、暴言や暴力のある認知症の方のケアを一人で何人もやらなければならない状況でした。
介護士は認知症対応のプロではありますが、普通の人間なので感情も普通にあるし、起伏もあります。
認知症という病気の特性だといくら頭で理解していても、生活を快適にする為のケアをしている最中に暴言を浴びせられたり暴力を受ければ良い感情はいだけません。
それでも普段は何食わぬ顔でケアに当たり、イライラやしんどさをお気に入りの利用者さんで癒やすんです。
人員に余裕がなく、しんどいなと思っても対応を変わってもらえなかったり、人員に余裕があっても、SOSを発せられる雰囲気がないという状況が介護士を虐待へと向かわせます。
そして、その状況が続いてしまうと多分介護現場では簡単に虐待は起こり得る事です。
労働は一般的に1日8時間ですが、8時間暴言を浴びせられていたら多分介護現場を知らない人なら1日持たないと思います。それほど、人手不足の介護現場は過酷な状況が多いですよ。
介護施設ではどういう利用者が虐待の対象になりやすい?

介護職員目線から見て、虐待の対象になりやすい利用者さんの特徴は
- わがままである
- 認知症のbpsdがひどい
この2点が主です。
わがままである
ご家族でも勘違いしてる方々がわりと居ますが、介護士は高齢者のわがままを叶える奴隷ではないです。より快適な生活の援助は精一杯やりますが、ただのわがままや依存的な気持ちには正直なところ付き合いきれません。それをやると、平等なケアができないからです。
一人の職員が複数の利用者をみる状況では
やってほしい、という気持ちの部分より
転倒しないか?ちゃんと嚥下できてるか?などどうしても安全面を最優先します。
例えば
そんな状況で【これやってよ】とナースコールを頻回に押されたりすると、だんだん介護士もイライラが募るので虐待につながりやすいです。
認知症のbpsdがひどい
bpsdとは認知症に伴う周辺症状を指しますが、これがひどいとぶっちゃけ一番虐待に繋がる可能性が高いなと個人的には感じています。
これを言うと認知症は病気なんだから仕方ないだろう!という野次も飛んできそうですね。繰り返しですが介護士も人間なのでいくら病気でも暴力や暴言を浴びればイライラを含め、マイナスな感情しかいだきません。
それも認められない、そんなやつに金なんか出したくないという人はロボットでも買ってロボットに介護してもらったほうがいいです。感情のない介護士は多分存在しませんよ。
bpsdがひどいと一人の利用者の1つの動作の対応に時間もかかるし、場合によっては職員も2人で対応しなければならずかなり負担です。
どんなに温厚な人でも、イラッとする瞬間を感じるのは多分認知症の対応のときがほとんどです。
それほど認知症の対応は千差万別だし、正解はないし大変です。
でも、やっぱり病気だから仕方ない部分もどうしてもあります。ご本人のコントロールできることではないのでね。
だからこそ、介護士もフラストレーションを抱えやすく、虐待にもつながりやすいです。
精神科受診を進めると嫌がる家族も多いですが、認知症の症状は酷くなれば薬を使わなければとても対人間として対応しきれません。
もしご家族の立場でこの記事を読んでいる方がいたら伝えたいことですが、
・病気でも人間らしく扱ってほしい
・虐待の対象にはなってほしくない
という思いがあるなら、職員や介護の知識がある人から進められたら是非積極的に精神科受診をして下さい。
家族が認知症なんて認めたくないとか、うちの親がボケてるなんて失礼な!とかそれぞれ想いがあるのは重々承知ですが、家で見きれない症状がある時点で介護職の意見に耳を傾けるべきという何よりの証拠です。
介護士の立場からすると、家族が嫌がって精神科にいけてないけど、ぶっちゃけ対応もしんどいし薬を飲んだほうが、本人もラクだろに…と思う事もしばしばです。
介護士による虐待の原因と防止対策

介護施設の虐待による死亡事件が多い昨今、介護施設の虐待防止策の徹底は急務です。
しかし、現状の介護現場では効果的な対策を打つのはぶっちゃけ難しいんじゃないかなという印象を受けます。
過去の経験から、私が思う虐待の原因は
- 人員不足の為に暴言や暴力を受け続けながら対応せざるを得ない事
- 施設の人間関係が良くないこと
- 【利用者の為に我慢すべき】という風潮がある事
大きく分けるとこの3点です。
人員不足の為に暴言や暴力を受け続けながら対応せざるを得ない事
これは本当、もうそのままで対策は人員を増やす事しか無いんですが、介護職の処遇が改善されないとなかなか人は集まりづらいです。
- 休憩なし
- 公休少ない
- 希望休通らない
- 給料安い
こんな仕事だれもやりたがらなくて当たり前です。このままの処遇ではなかなか虐待防止対策は実行できないのが現状ですね。
施設の人間関係が良くないこと
どうしてもイラッとするような、感情を逆なでされるような言い回しをしてくる利用者さんっているんですよ。
悪気があるかないかは別問題として、他人をコントロールするのは無理なのでイラッとしないようにするのではなくイラッとしたときの対処法を予め自分で分かっておくことが大切ですが、
その対処法の一つとして、一人で対応を頑張りすぎず、辛いときは周りの職員にSOSを出して協力してもらう、というのがあります。対応を代わってもらったり、一緒にやってもらったり、話を聞いてもらったり。
ぶっちゃけこれができる職場は虐待の発生率が低いんじゃないかと思います。
私も過去の職場で【○○さんの更衣一人で大変じゃない?一緒にやろ!】と言ってもらえてイライラせずに対応を終えられた事もたくさんあります。
しかし
人間関係が良くないと、こういった声かけが職員同士でできません。それどころか逆に、あのひとの対応大変だからあいつにやらせればいいや、みたいな行動を取る職員も居たりして
- SOSが発せられず一人で抱えてしまう
- 大変な思いをする職員が偏る
などの問題点が生じ、大変な思いをいつも強いられる職員が虐待に走りやすくなってしまいます。
これの対策は明白で
人間関係の悪くない施設に行く、しかないです。
そんなの内部を知らなきゃ無理だろう!人間関係の悪くない施設なんて運次第じゃないか!という意見もあるかもですが
介護職の立場で人間関係の悪くない施設を探すなら、個人的には派遣で様子見→悪くなかったら正規職員という流れで可能です。
家族の立場なら必ず施設を直接見学しに行く事が大切です。11時半とか忙しい時間帯に行くのがぶっちゃけおすすめ。忙しい時間帯に見学に来られるのは職員としては正直迷惑だし、もしかしたら施設側に断られるかもしれないですが、忙しい時間帯の職員の対応でその施設の本当の雰囲気がわかります。
忙しい時間帯は職員が協力し合わないとなかなか回しづらかったりするので、その時間帯に職員同士の会話が少ない施設は要注意、です。
【利用者の為に我慢すべき】という風潮がある事
介護職としてはとても残念ですが介護業界において、この風潮はまだまだ根強いと感じます。
辛い思いをしても我慢するのがプロだろう!という考え方ですね。
過去にこんなツイートもしましたが
このツイートはいいねの数が100を超えました。
介護施設が
【利用者様の為に。】を実行できるのは【職員のために。】を実行できてからです。
大切にされてる感覚が持てないと、人は動きませんよ。
職員が、会社から守ってもらってる感覚を持って初めて、会社の理念に賛同し始める。と思ってます。一方的に理念を話してもたぶん
ふーん。のみ— るいぴ🐁介護のブログ (@ntya1231) August 13, 2019
これの反応が良かったということは、こういう思いを抱えて仕事をしている介護職も多いということではないかなと思います。
利用者第一、利用者目線、を意識するあまり、介護士が追い込まれてしまっては虐待にも繋がりやすくなってしまいます。
・わがままは聞けないとはっきり言う
・bpsdが酷いときは積極的に介護記録に残して家族や医療職と服薬調整の協議をする
これらができないと、なかなか虐待防止は厳しいです。
大なり小なり、遅かれ早かれ、虐待の起こり得る瞬間は沢山訪れてしまいます。
まとめ
虐待しそうな気持ちを経験した過去を元に
- この時の感情はどういうものだったのか?
- どういう状況で虐待してしまうのか?
- どういう利用者が虐待にあうのか?
- 虐待の原因とは何なのか?
について解説しました。
もしかしたら、実際に虐待をしてしまった人とは違う部分も少しはあるかもですが、
- 現在、介護現場は過酷な状況が珍しくないこと
- 虐待は誰にでも起こり得ること
- しかし虐待はあってはならないので、業界を挙げて防止対策に取り組むべき
と言うことが多くの人に伝わればなと思います。
繰り返しになりますが、この記事で一番伝えたいのは
介護現場での虐待は誰もが手を染めてしまう可能性と隣合わせで働いており、虐待をしてしまい、逮捕された人も多分ですが特別悪い人だったわけではない。
この意見は犯人を擁護するものではないですが、TV番組やSNSで犯人を批判して、職員がどれだけ卑劣な事をしたか、を議論してもなんの意味もなくて、大切なのは、なぜ虐待に至ったのかを考え、今後の再発防止策に活かすことです。
ABOUT ME
スポンサーリンク